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日本人の約4割が部分的に、もしくは全面的に誤解しているNZの医療制度について、今回はケガ以外の病気の面から話を続けます。
 
【NZでは公立病院のみ無料】
 1度でもGPにかかったことがある人ならご存知のように、「NZの医療はGPも含めてすべて無料」というのは全くの誤解です。NZで無料になるのは公立病院のみです。「じゃあ、病気になったら公立病院へ行けばいい。どうしてGPに行くのか?」
となりそうですが、公立病院では緊急など特別な場合でない限り、いわゆる外来診療を行っていません。ですから、
「風邪を引いたのでオークランド病院へ行こう。」
と言っても、受け付けてもらえません。
 
【最優先の緊急医療】
 では、どういうときに公立病院を利用できるのでしょうか。その役割は大きく分けて2つあります。まずは緊急の場合です。心筋梗塞や脳梗塞など不意の病や大ケガなどで、救急車を呼んで一刻も争うときはすべて公立病院の対応になります。この場合は緊急かどうかが決め手になるので、「救急車を待つ時間が惜しい」とか「救急車は有料だから」と、家族が自家用車で公立病院へ連れて行っても、出血や骨折など他覚症状(他人が見てもわかる症状)がないときは緊急扱いにならない場合もあるので、ご注意ください。緊急の場合は救急車を利用しましょう。
 
【専門医、手術、入院】
 もうひとつはGPにかかり、専門医にかかるよう紹介状をもらった場合です。かなり高額でも自腹を切るか医療保険があれば、そのまま民間の専門医にかかることも可能ですが、保険がない場合はまず無料の公立病院を選択するでしょう。専門医の判断で、検査、入院、手術とその後の治療が進みます。病気を問わず無料なので、ちょっとしたアレルギーからガンまで公立病院なら何でも無料です。
 
【最大の問題は順番待ち】
「ガンでも無料?さすがNZ、すばらしい医療制度じゃないか!」
 と思われそうですが、これは公立病院を利用したことがない人の感想でしょう。実際、GP経由で公立病院の専門医にかかろうとしても、今すぐに命にかかわるほど深刻でない限り、長い長い順番待ちに直面します。公立病院は「病院危機」といわれるほど慢性的に混んでおり、専門医に会う最初の予約が入れるまでに数ヶ月から1年待ち、予約が入ってからさらに数週間から1ヶ月待ちというのはざらです。
 
【待っている間にも病気が進行】
 問題は「命にかかわるかどうか」がわからなくても待たなくてはいけないことです。「腫瘍があるようだ」と診断されたのに、それが良性か悪性か診てもらうのにも待たなくてはいけないのです。痛みがあるのに3、4ヶ月、場合によっては半年や1年待つというのも想像以上に辛いものです。待ち時間の間に病気が進行してしまうこと、これが公立病院を取り巻く無料医療の最大の問題です。
 
【無料の代償】
 「タダほど高いものはない」ということわざがピタリと当てはまってしまうのが、今のNZの無料医療の問題です。無料なので「お金を払うから少しでも早く」という選択肢がありません。順番待ちを回避して、すぐに受診したければ、自腹で私立病院へ行くか、医療保険に入っておいて、いざというときは保険を使って私立病院へ行くしかありません。この点が「NZの医療は無料」と思い込みの大きな落とし穴です。
 
 次回は順番待ちの実例をお話してみます。