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お客様に喜んでもらえるような
純和風のレストランを目指しています
庄兵衛 オーナー 堀内和浩さん

●氏名:ほりうち・かずひろ/1967年11月9日、三重県生まれ/A型
●趣味:将棋、ギター
●座右の銘:大ぼら吹きは諦めない
●ビジネスの歩み
産業翻訳者を目指してニュージーランドへ
近年、目覚しく成長を遂げているニュージーランドの外食産業。海外からの情報や移民の増加に伴ってこの国の食文化は多様化し、都市部を中心に世界各地のレストランが軒を連ねるようになった。日本料理店ももはや珍しいものではなくなったが、その多くは無国籍の要素を持つモダン・ジャパニーズで、純和風と呼べるところはまだ少数派だ。オークランドのドミニオン通りに昨年お目見えした焼肉居酒屋「庄兵衛」は、そんな貴重ともいえる“和”にこだわった一軒。数寄屋造りの店内には日本そのものの雰囲気が漂い、くつろいだ気分で本格的な和食を楽しむことができる。
オーナーの堀内和浩さんは幼い頃から食べることが大好きで、いつかおいしい日本料理を出す料亭を開きたいと夢見ていたという。とはいえ、日本の大学時代には電子工学を専攻し、卒業後は半導体の設計に従事。現在の職業とはまるで畑違いの分野に携わっていたそうだ。
「大学卒業後に勤めたNECにはシリコンバレーから毎年のように研修生が来ていたんです。彼らと仲良くなるにしたがって英語が話せたらいいなと思うようになり、社内の英会話教室に通い始めました」。
半導体の仕事はとてもおもしろく、やりがいがあった。しかし、英語に強い関心のあった堀内さんは、やがて英語と電子工学の両方を活かせる産業翻訳者になりたいと考えるようになる。そこで真剣に英語を学ぶべく、ワーキングホリデービザでニュージーランドへ渡ることを決意した。
「静かで落ち着いた国で勉強したかったこと、ローリング・ストーンズやビートルズのファンでブリティッシュ英語を身につけたかったことからニュージーランドを選びました。オークランドの語学学校に入学し、フルタイムで6ヶ月、パートタイムで6ヶ月通いました。滞在先もホームステイで、英語漬けの毎日をおくりましたから、英語力はかなり伸びましたね」。
その後はワークビザを取得し、語学学校「ユニーク・ニュージーランド」で留学生のサポート業務を開始。2年間の勤務の後、日本料理店「有明」にオペレーション・マネージャーとして入社した。
「自然が豊かなニュージーランドが気に入って、永住権を取得したいと思ったんです。当時は高等教育機関で専攻した分野の仕事に就いていないと永住権の申請に必要なポイントがもらえなかったので、電子工学系の仕事を探すために学校を退職したのです。でも、就職活動中に有明の料理長と知り合いになり、人手不足だからと短期間手伝うつもりで入ったら居心地がよくて、結局丸6年、働かせていただくことになりました(笑)」。
顧客から人気の高いメニューのひとつ、エビ天ぷらロール
趣味はギターを弾くこと。日本ではRCサクセションがお気に入り
選りすぐった日本酒のセレクションも好評を得ている
やりたいことは口に出して言ってみる
堀内さんが有明で働き始めてすぐに移民法が改正され、ジョブオファーがあればポイントを得ることが可能になった。そこで在職中に無事永住権を取得。仕事の合間にはフリーランスの翻訳者として念願の翻訳業務も始めた。2004年には自分でビジネスをしようとフランチャイズのガーデニング会社を開業。一国一城の主となった。
「有明での仕事は充実していましたが、サラリーマンは忙しいでしょう? 僕はもっと翻訳業に力を入れたくて、自分の時間が欲しかったんです。しかし翻訳だけでは収入が不安定ですし、結婚して息子も誕生したので、生活費を稼ぐためにビジネスを興しました」。
ガーデニングと翻訳という2つの仕事を両立していた堀内さん。しかし2年を過ぎる頃、思わぬ問題が発生した。
「ガーデニング会社の主な業務は芝刈りなんですが、妻が芝生アレルギーということが判明しましてね。例えば僕の作業着を洗濯してもらうだけでも、ひどい症状が出てしまうんです。ですからこの仕事は続けられないなと思い、妻と話し合ったところ、彼女が“お店がやりたい”と言うので、それならばと本腰を入れて計画を練り出したんです」。
店を開くに当たり、堀内さんの脳裏に浮かんだのが、子供の時分に願っていた料亭の夢。有明時代に培った経験と人脈もあり、“これだ!”とひらめいたという。
「日本スタイルの焼肉をメインとした居酒屋というコンセプトを決め、準備を進めました。将棋や落語が好きなので、着物や扇子の似合う純和風の店にしたかったんです。内装はニュージーランドに住んでいる日本人にお願いして、満足いく仕上がりになりました」。
こうして2007年9月27日、焼肉居酒屋「庄兵衛」がオープン。主にキーウィとチャイニーズの顧客が付き、順調な滑り出しを見せてから約1年。経営は軌道に乗っているものの、最近改めて“ビジネスの難しさ”を感じているという。
「想像以上にビジネスは大変ですね。サービスにしても味にしても質を維持するのって難しいんですよ。デザイン、接客、料理、ドリンクと、常にいろんなことを考慮して管理しなければならない。本当に大変です。もっとも仕事は好きだし、楽しいから苦にならないんですけどね」
堀内さんがビジネスをする上で心がけていること。それは「大ぼらを長く吹き続ける」ことだそう。自分の思っていること、望んでいることは、嘘でもいいからとにかく口に出してみる。そうすることでモチベーションも高まり、チャンスにも恵まれると実感しているという。「お客様がもっともっと喜んでくれる店にしたい」と、今後の抱負を語る堀内さん。有言実行の精神が、ビジネスへの道を開いているようだ。
ニュージーランドで起業を目指す日本人へのアドバイス
価格抑え目で本格和食を提供。駐車スペースが多い点も便利
ビジネスを始める前に、しっかりと事前調査をして、計画を固めることが重要ですね。ただ、こちらの業者は何かと対応が遅いので、柔軟性を持つことも大切です。それから、年齢にこだわらないこと。「もう年だから無理かもしれない」と思ったら、その時点で終わりですから。この国は日本より年齢の壁がなく、競争も少ないのでビジネスは始めやすいと思います。それから、日本での職務経験はあったほうがいいでしょうね。日本の社会はとてもしっかりしていますから、そこでの経験はビジネスをする上で大いに役立ちますよ。
2008年9月 文:グルービー美子(Media 4 New Zealand Ltd.)
会社の概要
SHOBEI JAPANESE Yakiniku and Bar
住所/Eden Quarter, Shop 8, 290 Dominion Rd., Mt. Eden, Auckland
電話:09-630-1400
営業時間:ランチ11:30〜14:30、ディナー17:30〜22:00(21:30ラストオーダー)
定休日:祝祭日
ウェブサイト:http://www.shobei.co.nz/